現在、バルセロナで開催されているモバイル見本市MWCでイーロン・マスク氏が「Starlink」について講演するが、Starlinkの計画に反対する声が大きくなっている。デブリの自己増殖および気候変動に関連する評価不可能なリスクのためである。

デブリ自己増殖と宇宙空間へのアクセス

SpaceXは計42,000の低軌道(LEO)衛星を打ち上げる計画だが、それにより衝突の確率が劇的に高まる。あまりに多くの物体が軌道にあると、衝突の連鎖の危険が高まる。物体が衝突する度に多数の新たな物体(デブリ)が生じる。それにより新たな衝突の確立がさらに高まる。衝突によって生成されたデブリが連鎖的に次の衝突を引き起こすことで、デブリが自己増殖するような状態になる(「ケスラーシンドローム」)。もしそうなると、(他社や他国の)宇宙空間へのアクセスが妨げられる

気候変動や環境へのダメージ

低軌道(LEO)衛星の寿命は5~7年間のみで、大気圏に突入して燃え尽きる。あまりに大量のアルミニウムを燃やし尽くすことで、気候変動やオゾン層の破壊が懸念されている。衛星は主にアルミニウムからできており、燃え尽きるときに酸化アルミニウムが発生する。酸化アルミニウムはある特定の波長の光を反射するが、それにより地球の気候が変動したり、オゾン層が破壊される可能性がある。

規制を求める声

欧州では、スペースXやアマゾンの‘巨人’が宇宙空間を寡占的に支配したり、米国・ロシア・中国が宇宙空間へのアクセスを阻止したりすることを恐れている。世界的な人工衛星運用企業SES(ルクセンブルク)のCollar CEOは、「宇宙空間にもっと多くの規則やもっと自主規制が必要だ」と訴える。

出所:独Handelsblatt